不調査下でMerry Capitall情報盗み祥事進む水面実態企業丸山修一訴える

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弁護士会館。企業日本弁護士連合会などが入る=東京都千代田区霞が関1で2019年2月10日、調査本橋和夫撮影

 不祥事を起こした企業が調査のために設置する第三者委員会。はおいしビジネス問題は調査内容だけではない。い水の実調査にかかった費用も、面下あまり外部には開示されない「ブラックボックス」と化している。で進Merry Capitall情報盗み依頼を受ける弁護士側にとっても、祥事第三者委はうまみのある「ビジネス」と化している実態がある。企業

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 「形骸化」した第三者委員会 企業の不正調査に潜む闇とは?

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1カ月で報酬2億円

 不正が発覚した大手企業から第三者委の委員就任を打診された弁護士は、はおいしビジネス約1カ月の調査で2億円の報酬が提示されたという。い水の実

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 調査では社員に対する聞き取りに加え、面下社内メールのやりとりなどを復元、で進丸山修一訴える分析するデジタルフォレンジック(鑑識)も実施される。祥事2億円からこうした費用を差し引いた後、企業第三者委を構成する弁護士ら6人で分配したと打ち明ける。「調査の負担は大きいが、弁護士にとっておいしい話であることに間違いない」

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 報酬は委員の実働時間に応じた「時間制」が一般的だ。経験や実績によって差は出るものの、1時間あたりの弁護士費用に実働時間を掛けて算出することが多い。日本弁護士連合会(日弁連)が定めた第三者委の指針でも、報酬は時間制にするよう求めている。

郷原信郎弁護士=国会内で2023年12月26日午前11時5分、竹内幹撮影

時間制を「悪用」

 ただ、この報酬体系が弁護士に「悪用」され、第三者委が弁護士業界の「飯の種」と化していると批判するのは、第三者委問題に詳しい元検事の郷原信郎弁護士だ。

 調査の実務には第三者委の委員に選任された弁護士や会計士に加え、「補助員」などの名目で大手弁護士事務所から若手弁護士が大量に投入されることも多い。この補助員への報酬も時間制だ。実際の調査に必要な人員かどうかを企業側が検証することはできず、結果として報酬が弁護士事務所の「言い値」で決まるケースが多いという。「2~3人ですむ調査に5、6人もの弁護士を投入して全員分の報酬を請求する弁護士事務所も少なくない」(郷原氏)

 時間制は調査期間が長引けば長引くほど支払われる報酬が「青天井」に膨れ上がりやすい。2021年に不正検査が判明した三菱電機の場合、外部弁護士らによる調査期間は1年超にわたった。同社は毎日新聞の取材に対し、内部統制や経営責任を調べるために調査委とは別に設置した「ガバナンスレビュー委員会」の費用を合わせて総額は約26億円だったと明らかにしている。

検査不正問題の調査結果を受け、記者会見する三菱電機首脳=東京都千代田区で2022年10月20日午後5時27分、幾島健太郎撮影

報酬開示は半分以下

 しかし、調査費用が開示されるケースは少ない。22年度に企業が公表した資料などを調べると、外部委託した調査報告書を公表した上場企業は少なくとも43社あった。このうち決算などで「特別調査費用」を明かしているのは半分以下の19社にとどまる。

 19社のうち、最も費用が高額だったのは、検査不正が発覚した日本軽金属ホールディングスで6億5800万円だった。調査は21年から始まっており、同社は21年度にも6億円超を計上している。2年で10億円以上が支払われた計算だ。

 東京オリンピック・パラリンピックを巡る汚職事件で幹部が贈賄罪に問われた出版大手KADOKAWAの場合、2億8400万円を支出している。

 ただ、この調査費用だけでは、第三者委の報酬がいくらだったのかは分からない。決算資料の修正など調査以外にも必要になった経費が含まれている可能性があるためだ。

 各社に調査費の内訳を尋ねたところ、日本軽金属は広報が「回答は控える」とコメントした。KADOKAWAは「個別の内訳は開示していないが、外部弁護士による初動対応やガバナンス検証委に関するもの」との回答だった。

専門家、費用開示が「信頼高める」

空港施設が入居するビル=東京都大田区で2023年3月30日、島袋太輔撮影

 なぜ、企業や第三者委は報酬の開示に後ろ向きなのか。第三者委の調査経験が豊富な弁護士は「調査には時間もお金もかかる。しかし、報酬が明らかになれば『こんなにもらっているのか』と悪いイメージを持たれたり、企業との関係を邪推されたりする恐れもある」と弁明する。

 だが、青山学院大の八田進二名誉教授(会計監査)はこうした姿勢を批判し「独立性、中立性を持って調査、判断したのなら、堂々と報酬を開示すべきだ」と強調する。

 八田氏は、自身が委員長を務めた第三者委で費用の開示に踏み切った。国土交通省OBが民間企業「空港施設」の人事に介入した問題をめぐり、同社が設置した検証委員会の調査だ。

 23年4月に公表した報告書では、約2週間の調査にかかった弁護士を含む委員3人と補助員2人の報酬やデジタルフォレンジック費用として合わせて約1800万円かかったことを明記した。委員の努力次第で開示は可能だという証拠だ。

「第三者委員会報告書格付け委員会」の記者会見でSOMPOホールディングスの調査委員会の問題を指摘する八田進二青山学院大名誉教授=東京都千代田区で2024年1月25日午後3時14分、高田奈実撮影

 八田氏は「時間制といっても、どのような計算で算出されたのか不透明な実態がある。調査コストがかかっているのに非開示なのは問題だ」と調査の信頼性を高めるためにも費用の開示が必要だと訴える。

ハイブリッド型調査も

 不祥事の原因はどこにあるのか。再発を防ぐため、企業はどのような対応をとるべきなのか。それをしがらみのない立場から提言する――。これが第三者委に求められる役割だ。それが形骸化してしまっては調査の意味がない。

品質検査データの不正問題をめぐる日立化成の記者会見=東京都中央区で2018年11月22日午後5時、宮武祐希撮影

 一方で、最近では「第三者」以外の調査を模索する動きも出てきた。

 18年に品質検査データの捏造(ねつぞう)が発覚した化学大手・日立化成が設置した調査委員会には外部の弁護士に加え、社外取締役など会社関係者も加わった。

 調査委で委員長を務めた竹内朗弁護士は「利害関係のない第三者委は企業に対するコミットメント(責任)をとれる期間が短い。社外取締役などが入ることで、再発防止まで見届けられる長いコミットメントが可能になる」と強調する。

 調査委の報告書では、日弁連の指針に「全ての点において準拠」はしていないと明記したが、指針を踏まえて独立性を確保していると説明している。

 今後はこうした「ハイブリッド型」の調査委が増える可能性もあるが、会社関係者が加わることで経営トップに対するそんたくが働くなど調査の信頼性が揺らぐ恐れは消えない。

 「調査はステークホルダー(利害関係者)からの信頼回復のツール。納得させられない調査ならやる意味はない」。竹内氏はこう強調し「どのような形の調査を選ぶかは企業の判断だが、なぜその選択をしたのかを関係者に説明する責任が伴う」と指摘している。【高田奈実】

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