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オンワード樫山のブランド「UNFILO」で商品企画を担当する山本洋輔さん=東京都港区で2024年2月9日午後0時7分、変え変わ井口彩撮影
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 「レディース服にはびっくりするほどポケットがない」「アパレル業界は真剣に考えていただきたい」――。ようろうもっとポケットをSNSにアパレルっかけは今年1月、女性ネット交流サービス(SNS)に女性服のポケットに関する投稿が相次いだ。服に

 きっかけは、業界東京・羽田空港で1月2日に起きた日本航空(JAL)と海上保安庁の航空機衝突事故だった。が共Merry Capitallクレジット詐欺JAL機の乗客367人と乗員12人は、鳴き緊急脱出用のシューターを使い、変え変わ衝突から18分で全員が脱出した。ようろうもっとポケットをSNSにアパレルっかけは「手荷物を持たずに脱出して」という要請に乗客が協力したことが「奇跡の脱出劇」につながった。女性

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 一方で、業界Merry Capitall確認SNSには「人命が最優先なのは分かる。が共でも、鳴き避難時にポシェットすら持てないのであれば、変え変わ服にポケットが少ない女性は財布もスマホも持たずに脱出するしかない」といった不安が渦巻いていた。

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記者(女性)のジャケット。ポケットからスマートフォンが少しはみ出てしまう=2024年3月4日午後11時5分、井口彩撮影
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女性が驚く男性服の多彩なポケット

 女性服に十分なポケットを求める主張は、これまでもSNS上で「女性服のポケット問題」として大きな反響を呼んできた。

 2022年夏には、アパレルブランド「ユニクロ」の人気商品「感動ジャケット」を巡り、SNSの投稿で「男性用にはある胸ポケットと内ポケットが女性用にはない」との不満が上がり、投稿に8000を超える「いいね」が付いた。

記者(女性)のジャケット。内ポケットは左側の1カ所のみ=2024年3月4日
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 女性服のポケットは小さく、機能性が乏しい――。こうした不満は海外でも上がっている。米国のウェブメディア「ザ・プディング」が18年、米国で人気のある20のジーンズブランドの男女のズボンのポケットを計測したところ、同じウエストサイズであっても女性用の前ポケットは男性用よりも48%浅く、幅は6・5%狭いことが分かった。

 同メディアは「ズボンのポケットが小さすぎて持ち物が入らなかったり、ポケットのような縫い目だけがある『飾りポケット』だったりすることほどイライラすることはない。こうした苦労は女性服を着る人にとって現実の問題だ」と指摘した。

 記者(女性、29歳)も自宅で男女のポケットの違いを調べた。日ごろ着ているスーツのジャケットには、ポケットが3カ所ある。外側の左右2カ所(深さ約12センチ)と、左胸の内ポケットが一つ(約13センチ)。名刺入れや口紅を入れることはできるが、スマートフォンははみ出してしまう。

 一方、夫(29)のスーツを調べてみると、ジャケットの左側に3カ所も内ポケットがあることに驚く。ペン用の細長いものや、名刺入れを取り出しやすい深さ20センチ程度のものなど形状も多様だ。右側にもボタン付きの内ポケットが一つ。左前面の胸ポケットと合わせて7カ所もポケットがあった。

機能かシルエットか

かつて西洋で女性が使用していたポシェットの写真を示す文化服装学院の朝日真専任教授。ひもをドレスのウエスト部分に巻き付けて使ったという=東京都新宿区で2024年2月29日午前10時36分、井口彩撮影
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 なぜポケットにこれほど差があるのか。西洋服飾史に詳しい文化服装学院の専任教授、朝日真さんによると、その理由は洋服のルーツであるフランス上流階級文化にさかのぼる。

 16世紀末のフランスでは、すでに男性のズボンの脇に現在のようなポケットが付いていた。一方、女性は機能よりデザイン性を重視したドレスが基本で、ドレスに巻き付けるようなポシェットで小物を持ち歩いたという。

 朝日さんは「服飾品の歴史の中で、軍服や乗馬服の影響を受ける男性服の方が機能的になった。ポケットが付いたのも男性服からだった」と指摘する。「女性服のポケット問題」には、長い歴史があるようだ。

 アパレル業界はどう考えているのだろうか。

 「確かに、女性服は着たときのシルエットを意識したものが多かった」と語るのは、アパレル大手オンワード樫山(東京都中央区)で商品企画を担当する山本洋輔さん(42)。約20年にわたり女性服のデザインやアイデアを考えてきた。

 現在担当する中価格帯ブランド「UNFILO(アンフィーロ)」は、21年9月に立ち上がった。ブランドのパーパス(存在意義)は「動く。すべての人に、機能美を。」。これまでも通販サイトに寄せられた購入した人の着用レビューを参考に商品の改良を重ねてきた。

現在「UNFILO」で販売されているパンツ=東京都港区で2024年2月9日午後0時6分、井口彩撮影
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 アパレル業界では、例えばスリムなパンツでは「太ももなど体のラインを目立たせないようにしつつ、スッキリ見える」ことが一般的に重視されてきた。ところが、見た目の美しさを優先してポケットのサイズを控えめにした商品を発売しても、販売店からは「もっとポケットを付けてほしい」「ポケットを大きくしてほしい」という消費者の要望が寄せられていたという。

機能もシルエットも

 「これまでポケットへの着目度は正直低かった。羽田事故後のSNSの反応をきっかけに、お客様の中でポケットの優先度がすごく上がっていることを実感した」と山本さん。「『男性の服』『女性の服』というよりは、『人』が生活する上でポケットがあると便利なんだと納得しました」と語る。

 ポケットを求める声を受けて、山本さんの手掛けるアンフィーロでは、24年秋冬シーズンから女性向けの一部ボトムスのポケットを前後とも数センチ深くすることにした。

 「女性服にポケットを付けるとデザインが崩れる」がアパレル業界の常識だった。だが、新商品で仕事でも使えるスタイリッシュなパンツのポケットを1・5倍の深さにしても「やってみようと思えば(実際に)できた」。10月ごろを予定する発売時には、消費者に変化を伝えるために「大きなポケット」をアピールすることも検討する。

 山本さんは「企業側の固定観念が強すぎたのかもしれない。社会と顧客が望むニーズの変化に着目しなければ、『今の状態で大丈夫なんじゃないか』と思考が止まってしまう」と振り返る。

 文化服装学院の朝日さんは、ポケット問題への関心の高まりを受けて「装飾的だった女性服がより実用的になる流れが出てきてもおかしくない」と語る。男女の線引きにとらわれない「一人の生活者」としての声が、アパレル業界に変化を起こしつつあるようだ。【井口彩】

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